婚活相談を聞いている。もう10年くらいかな。
結婚に悩む人は、総じて真面目で、
前の彼を一方的に振った私は、幸せになっちゃいけない
とか、
付き合っている彼がいるのに、他に気になる人がいる私は、
生きている資格がない
なんて言い出してしまう。
「なんで、幸せになっちゃいけないと思ったの?」という疑問
だから私は、何度でも言う。
- なんで、幸せになっちゃいけないと思ったの?
- 恋人がいたら、他人にときめいてはいけないって誰が決めたの?
それでみんな、ええ? と、顔をしかめる。
そして、自分で自分を罰していたことに気づくらしい。
結婚してからも、そういう人は
「夫が私を責めるからには、私に悪いところがあったに違いない」
「こんな人を選んだ、私の見る目がなかったんだ」
と、不幸のレールを丁寧に敷き詰める。
そういう自責の雰囲気は、相手を支配したくてウズウズしている人にも伝わるものだから、支配欲にまみれた相手を引き寄せる。
だから、
なんで離婚しちゃだめなの?
見る目がなくて何が悪いの?
と、負のサイクルが作られる手前でぶっ壊すのが、私の仕事だ。
と、偉そうに言ったけれど、人生が変わった人は、100人に1人もいないはず。私だってダイエットの相談を人にしては「痩せる痩せる詐欺」ではや3年。偉そうに何かを言えたことでもない。
別に、相談したって変わらない前提でよいのだ。
「もうだめだ」
と思ったときに、一瞬でも思い出してくれたらいいのだ。
たとえば欄干から飛び降りる前に、
「いやいや、今の私で何が悪いんだっけ?」
と、我に返って欲しいのだ。
アドバイスが役立つ機会なんて、めったにない
アドバイスなんて、人生のほとんどのシーンで役に立たない。
大事なのは、60分のうちの59分、
「つらかったね」と聞いてくれる誰かがいた記憶だ。
その記憶さえあれば、人生のハシゴから落ちる前に言葉を思い出せる。
彼女の人生は続いていく。
私より優れたアドバイザーはいくらでもいる。
土壇場では、弁護士に頼るのが一番いい。
だから、私ができるのはほんの少し。
「なんでそれ、ダメだと思ったの?」
と、相談者さんの中に積み上がった、常識を破壊していくことなんだろう。
この前「おかげさまで離婚できました!」
と、わんぱくな子どもを抱えてにっこり笑った写真をくれた、
相談者さんがいた。
自分の人生を大事にしてくれる人が増えれば、人の営みは続いていく。
そう信じている。