婚活予備校「魔女のサバト」の白魔女・金沢悦子さんと恋愛ジャーナリスト・おおしまりえさんに、40代・50代の女性の婚活について対談していただきました。全3回。
※対談は2024年4月に行われました。
相互依存に行きつくカギは、感情を味わい尽くすこと
金沢:20代から30代までの世代と、40代から50代の世代で分けて考えた場合、その後半戦の世代の方々が婚活する上で何か気をつけた方がいいこと、婚活において違う点など、おおしまさんの考えを伺いたいです。
おおしま:人間には成長フェーズが3段階あると思っていて。はじめは依存期です。生まれてきたばかりで大人の手がないと生きていけないというのは、肉体的にも精神的にも依存している状態ですよね。そこから大人になるにつれて、人は自立をしていきます。しかし、自立をしたら終わりではなく、自立しきったら今度は相互依存という時期が来ると思っています。相互依存とは、ひとりでも立てるし、相手に寄りかかり支え合うこともできるという状態。どちらも選択できるという、真の成熟です。
なので、いわゆる仕事で成功して、婚活で苦労してる人たちは相互依存でつまづいているんじゃないかと思います。自立を極めた結果、相手に委ねることができないケースが多いので。
例えば相手のペースに自分の身を委ねてみるとか、相手に決めてもらうとか、あえて相手に委ねることをしてみることで、新しいフェーズにいけると思います。
金沢:相互依存って言葉にはあまりいい印象がなかったですが、おおしまさんのお話を聞いてとても納得しました。おおしまさんご自身は、パートナーと相互依存の関係を築くために、どんな取り組みをされていますか?
おおしま:私は心理学を勉強しているので、自分の行動パターンや、過去の傷には敏感になるようにしています。ネガティブな感情を抱いた時は、必ず振り返って、「何か隠れているのかな?」と考えていますね。
金沢:そういう意味で、ネガティブな感情が出てくる時は、自分を知れるチャンスにもなりますね。そういった振り返りは、トレーニングをすればできるようになるものでしょうか。
おおしま:ある程度は誰でもできると思います。自分の中に湧き出てきた感情を拾って紙に書き出すとかでも良いと思うんですよね。ネガティブな感情があると思ったら、その感情を言葉で書き出していき、見直すことである程度の振り返りや感情の昇華はできます。
金沢:バーッと出てきた感情が、例えば怒りだったとして、「なぜ私はこんなにムカついているんだろう?」と深掘りをするイメージですか?
おおしま:「なぜ」で深掘るときは思考が働いているので、そのままの感情を感じて処理するようにしてみてください。ムカつくと思ったらムカつくという感覚が落ち着くまで「ムカつく」って言葉を連続で書くみたいな感じですね。感情を出す必要があるので、感情を出しきる前に思考で判断したり整理を始めると、感情の昇華はしきれないんです。
金沢:感情は層になっていて、最初に出てくる一次感情の奥に、二次感情という本当の感情が隠れている、と言いますよね。それは頭で考えてはダメなんですね。
おおしま:そう、二次感情は勝手に出てくるまで待たないといけないんですよ。
金沢:それまでに感情を味わい尽くす必要があって、そのために紙が必要なんですね。
おおしま:そうですね、やりやすいです。私は内観ができるようになったのでもう書き出したりしないんですけど、最初は難しいので書き出すところから取り組むと良いと思います。書くというワンステップを入れることで、少し思考が入ってしまうので、本当はひたすら感じて感じて感じて……というのが良いんですけどね。
まずはノートに「ムカつくムカつく!!」みたいな感じで、100回ぐらい書いても全然良いです。それで収まってきたら、 その奥にある感情を観察します。
金沢:収まるまで感情に浸っていても良いんですね。
おおしま:怒りを感じるあまり、違う妄想をして怒りを再燃させたりっていうのは、浸り込んでる状態なので、それは あんまり意味がないと思います。ただ怒りの感情で遊んでる状態なので。
落ち着くまで感情を暴れさせて、ありのままを観察するみたいな感じです。書く以外のアプローチだと瞑想をしてみると、今の感情に気づきやすくなるかもしれません。
金沢: 感情を無視しがちというのも、高学歴というかデキる女性のあるあるだと思います。例えば、付き合っている彼の浮気が露見した時に、「この体験も、何か私のプラスになっているはず!」みたいに無理やりポジティブに変換してしまうというか。そうなると、行き場を失った悲しみや怒りなどの感情が、事あるごとにぶり返してしまうと思うんですよね。
おおしま:ぶり返しますし、同じ問題がまた起こると思います。そもそも感情って、自分の中に「これはこうだ」みたいな思い込みがあるから出てくるじゃないですか。「私は大事な人からどうせ愛されない」みたいな概念を、親子関係で持ったまま大人になって恋愛をした時、彼が浮気して自分を大事にしないみたいな出来事が起きたとします。そこでアプローチをするべきは、自分の中にある「自分は大事な人からどうせ愛されない」という思い込みなんですけど、そこを無視して、「彼との関係でもしかしたら学びがあるのかも!」みたいな感じで処理しちゃうと、また大事にされないようなことが起きて、ループにハマるという感じですよね!
金沢:目の前の出来事や出会う男性というのは、自分の鏡なんですね。
パートナーシップで得られる幸せが欲しいならば、婚活に飛び込んでみよう!
金沢:40代以降だからこそ、「ココは婚活で有利だよ!」という点はあると思いますか?
おおしま:仕事で成功している女性は 経済的にも自立してますし、人間的にもある程度自立してるので、そこは魅力的だと思います。でも、それを正義として相手にも強要すると、それは魅力じゃなくなるんですよね。自立している人って、自分の中に正解があります。例えば、「こういう結婚をしてこういう生活をしたい」とか、「こういう夫婦関係でありたい」みたいな。それって芯が通っている良さはありますが、強要されると相手はキツいですよね。
金沢:やはり柔軟性は大事ですね。
おおしま:相手との関係性の中で自分をもう一度作り直せるか、というところにかかっていると思います。
金沢:自分を作り直すところにハードルを感じるのでしょうか。怖いとか、変わりたくないとか。
おおしま:それだけではなく、自分で全部やれた方が楽だと思っている方は多いと思います。パートナーシップに限らず、仕事でもそうだと思うんですけど、誰かと何かをやる時って相手のペースを踏まえなければいけない以上、どうしても自分のペースは落ちると思います。自分の速度を落としても相手に寄り添うというフェーズを踏めるかどうかです。そこをちゃんと踏まえて寄り添っていくと、パートナーシップも気づけば自分だけでは進めないようなところに行けたりとか、 進めない速度で進めたりというところに行き着けるんですけど、そこに行き着くまでには一旦速度を落とさなきゃいけないですよね。これはチームビルディングでも同じだと思います。
金沢:組織のチームビルディングは昇進とか収入アップとか、得られるものがわかりやすいですけど、パートナーシップの場合は何が得られるでしょうか?
おおしま:パートナーシップで得られるものは、感覚的な充足感になっちゃうと思います。圧倒的な信頼感とか、 彼と家庭を築くことの幸福感とか、そういうプライスレスなものです。
金沢:でもこれ、欲しいですよね。
おおしま:欲しいとは思うんですけど、体感したことがない人はめんどくさいって思うかもしれないですよね。結婚はコスパが悪いと言われてしまうわけです。結構な重労働なので、今はやりたくないと思うならばやらなくても良いと思います。
金沢:でも、例えば5年後とか10年後に「やっぱりあの時、やっていたらよかったな」って後悔する可能性がありますよね。だから、未来の視点から今の自分について考えるということも、魔女のサバトではやっているんです。10年後の自分がそれで良いなら良いけど、後悔する可能性が何割かあるならば挑戦する価値はあると思います。
おおしま:そうですよね、それは本当に思います。
金沢:では、最後に婚活中の働く女性、特に40代、50代の女性に向けてアドバイスやメッセージをいただきたいです。
おおしま:ハイスぺのアラフォー、アラフィフって結婚が難しいって一般的に言われてると思うんですけど、 私は適切な努力をすれば必ずできると思っています。私は24で結婚して、27で離婚しましたが、36歳で今の夫に出会いました。子どもができて結婚し、幸せを掴むに至りましたが、それまで向き合ってきた問題もたくさんあるのも事実です。婚活で求められる努力は、仕事で求められるものとは質が違うことを心に留めて、努力してほしいと思います。
もし一人で頑張るのがしんどかったら、魔女のサバトを利用したり、私も個人で恋愛コーチングというサービスをやっているので、そういった第三者を頼ってみるのも良いかもしれません。
金沢:努力が大好きな方こそ、努力の方向性を間違えずに婚活を頑張ってほしいですね。おおしまさん、本日はありがとうございました。
おおしま:ありがとうございました。
今回の対談ゲスト おおしまりえ さんのプロフィール
恋愛ジャーナリスト・フリーライター・キャリアコンサルタント
「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。現在anan、女性自身、現代ビジネスオンラインなどで執筆。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。
Twitter:@utena0518
今回の対談を主催した 魔女のサバト 金沢悦子のプロフィール
はぴきゃり代表取締役。
1991年株式会社リクルート入社。同年新人MVP賞を獲得・2年連続トップセールスを記録。転職後の2001年『ワーキングウーマンtype(現ウーマンtype)』編集長に就任。
その後、働く女性のキャリアをサポートする、株式会社はぴきゃりを創業。著書『ハッピーキャリアのつくりかた』など。男児の母。