婚活予備校「魔女のサバト」の黒魔女・川崎貴子さんと、恋愛専門コラムニスト・神崎桃子さんに「恋愛・結婚をしなくてもいい時代になったけれど、それでも恋愛をする意味とは?」というテーマで対談していただきました。全3回。
※対談は2023年12月に行われました。
恋愛・結婚の選択肢を人生から完全に排除するのってアリ?
神崎:結婚しない人生、結婚しない選択はあってもいいとは思うんですよ。
川崎:私もそう思います。
神崎:ただ、恋愛まで削除しちゃう必要があるのかな? さっき話したように、恋愛は異文化交流だと私は思うから。知らなかった自分に気づいたりとか。今まで見えていなかった部分が見えてきたりとか。自分の成長って人との関わり合いから生まれるものじゃないかと思うんですよ。
川崎:そしてそれって、自分では確認できないですよね。あー私寛容になったな、とか。私大人になったな、とかって。自分で鏡を見てもわからないですよね。シワが増えているぐらいで(笑)。
神崎:いくら本を読んだり、YouTube動画を見て知識を蓄えたとしても、それだけでは無意味だと思います。リアルで人間同士の交流を通じて実践をしないと、成長することってないですよね。
川崎:わかります。恋愛をするチャンスがあったらやってみればいいし、結婚をするチャンスがあればやってみればいいし。食わず嫌いは勿体ないかな。やってみないと、自分に向いているかどうかわからないじゃないですか。
神崎:結婚はリスクだらけだと言う人もいるけど、知識が先行してしまっていると思います。やっていないうちから本とかYouTubeで知ったふりになっている。
川崎:でも違いますよね。例えば外国のことは動画やテレビでいくらでも知ることができるけど、実際にその国に行ってみないと、匂いとか雰囲気とか食事の味は感じられない。それを体験すると、人生が変わると思います。
神崎:変わる、変わる。
川崎:私は結婚も子供を持つことも、すごくぼんやりしてた女なんですね。25歳で起業してしまったので。会社を大きくすることがもう命題になっていて、資本政策とか新規事業とか、そんなことばっかり考えていました。結婚はいつか大人になったらってずっと思っていたんですよ。だけどできちゃった婚を30いくつですることになりました。
子供ができてみて、 自分が結構ガラッと変わったんですよね。
結局バツイチになりましたが、子供がいる人生で働き方も変わったり、見る夢も変わったりして。違う自分に変化したというのは、本当にやってみてよかったと思います。
自分の考えている予想の範囲を大幅にオーバーして、結婚によってドラスティックに変わった人生を歩むというのは、コントロールできない面白さがありました。
神崎:恋愛も結婚も、アクシデントの対処法を学ぶ場ですよね。
川崎:神崎さんが恋愛や結婚をしてみて、この経験はしてよかったなと思うことはありますか?
神崎:すべて良かったですね。ダメな恋愛でも、してよかったと思います。自分が進化するためには必要でした。
川崎: 自分で決めて自分だけでやって世間の人と調和していくだけでできる進化と、恋愛とか結婚とか他人とガチで交わってできる進化は違うんでしょうね。私の場合は全然自慢もできない恋だったし、自慢もできない結婚でしたが、本当にありがとうとしか言いようがないですね。
神崎:あと恋愛とか結婚って自分の常識を相手に押し付けるとダメじゃないですか。でもずっとひとりでいると自分の常識でしか生きられなくなってくる。相手にすり合わせる努力や思いやりも必要です。
恋愛とか結婚に必要なものって、人間力だと思うんですよね。恋愛や結婚がそれを磨く場所なんじゃないかなって思います。
川崎:女同士は共感していれば仲良くできるから、共感しているふりもするし、 共感できる相手とつるみます。恋愛は似ているからだけじゃない。恋愛の場合、自分にないものに憧れ、それを投影していたりする。違うもの同士がひかれ合うものです。
わからないから、より喋ったり。わからないから、それをすり合わたいから、 もっと長くいたかったり。
共感し合えないって、どこかでわかってるからセックスしたりもするわけじゃないですか。こんなにむき出しの自分が見えることはないと思うんですよね。
ただ、そういう経験をした上で、「私は今後の人生で恋愛も結婚もいらない!」という人たちがそろそろ私たちの世代には出てくるし、それが若い子であっても私は別に良いと思います。ただ、やっぱり1回とか2回とかは、体験してみてほしいな。それで、向いている向いていないを決めてほしいと思います。
神崎:私は異性と関わることはやっぱり究極のコミュニケーションだと思う。人間同士の本音の部分でぶつかり合いができるし、しなくてはいけないのが異性関係です。
川崎:もう言語が違うのか、というぐらいにわかり合っていないですからね。「うん、綺麗だね」と言い合っても、お互い違うものを見ていたりするので。本当に女同士が楽だということもわかるので、そっちに振り切りたい気持ちもわかります。
でも、今は自由に選択できる時代だからこそ、1回チャンスがあるなら恋愛してみたらと思います。神崎さんもそういうお考えだと思ってよろしいでしょうか?
神崎:もちろんです。 習うより慣れろ派です。実際に経験してみるからこそ価値がある。
世間体を気にして恋愛・結婚をしなくてはいけないと思っている人へ
神崎:自分の意志で結婚しない道を選ぶのは、私は賛成です。でも、親とか世間体を気にして結婚しなきゃいけないと思うのは自分の意思じゃないですよね。「あなた、誰の人生を生きているの?」って思っちゃいます。
川崎:「魔女のサバト」の生徒たちに、「どういう人と結婚したい?」って尋ねてみると、「え、それ本当にあなたの好みの男性?」と思う時があります。よくよく聞いてみると、子供の時、お母さんに言われていたことだったりするんです。
「お母さん、こういう人を連れてきたら絶対に会わないからね」とか「あなたにはこういう人と結婚してほしいわ」と言われたことを覚えていて、刷り込まれてしまっているんです。でも、親を喜ばせたり安心させるために結婚しても、うまくいかないですよ。
神崎:私は昔、結婚相談所で働いていたことがあって、アドバイザーとデート嬢をやっていたんですよ。その時に、とある男性会員さんと女性会員さんを引き合わせたんですが、女性会員さんの方から「彼とは付き合えないです」とお断りがあったんですね。それを男性側に伝えたところ、なんと男性の親が乗り込んできて。「なんでダメだったんですか! 相手の女性に会わせなさい!」と言われたことがありました。
他のケースでは、仮交際を始める段階で、男性が「ちょっとお母さんに相談してみます」と女性に言ったことも……。そういう人は結婚に向かないですね。お母さんと結婚した方がいいねって話。
川崎:それだと自分の人生を生きられないですね。いつも「お母さんはどう思うだろう?」って考えて、最終判断もお母さんに委ねちゃっているから。
今は結構、娘の友達を見ていても親と仲が良いんですよ。私たちのころって、親からじゃなくて子供から親離れしていましたよね。だから結局親も子離れをしたんですけど、今の子どもたちは親離れをしないんですよ。親元にいた方が生存戦略的に楽だと思っている。親の方が愛してくれるし、お金も出してくれるし。反抗する意味がない。
神崎:温室にいれば、外に出る必要ないですよね。親に反抗して、外に飛び出していくからこそ、そこで何か別のものを求める。親との関わり合いから芽生える愛じゃなくて、よその人間と愛したり愛されたりみたいなところを求めるようになりますよね。親が全部お膳立てしちゃったり、親にいろんなことを与えられて満たされちゃうと、自分から取りに行かなくなってしまいますよ。
川崎:これを読んでいるママさんたちにも、早く自立させましょうね、と言いたいです。
神崎:そしてね、結婚しないことを選ぶ人に伝えたいのは、ひとりでも幸せそうに見えることが大事ですよ、ということ。結婚しないことは罪ではありませんし、ひとりで生きてゆくことは決して不幸なことではありません。
不幸なことは、周囲に「だからあの人結婚できないんだよね」「やっぱりね。あの人問題があるから結婚できないんだよ」と周りに思われてしまうこと。そうならないためには、日頃の言動に気を付けましょう。愚痴っぽかったり、文句が多かったり、すぐ人を批判したり否定したり……これではダメですよね。
結婚していなくても、前向きで明るくていきいきと輝いていること。ひとりでも幸せそうに見えることが大事だと思います。歳だけ重ねてしまっただけで人として中身に魅力がなければ、「あの人、だから結婚できないんだよ」と影で言われてしまいますから。
今回の対談ゲスト 神崎桃子さんのプロフィール
恋愛コラムニストとして業界歴13年以上。男女関係や恋に悩む人を笑顔にする専門家。
「恋が続かない」「出会いがあってもいい人止まり」「結婚できない」「復縁したい」「絶賛不倫中」
「離婚計画中」など、”恋愛初心者から上級者まで”あらゆるカテゴリの恋愛事情に対応。
セミナー講師としても活躍中。著書には「なぜ女はこんなことで怒るのか」他
神崎桃子|恋愛専門家コラムニスト |顔を売らずに文章を売る
今回の対談を主催した 魔女のサバト 川崎貴子のプロフィール
1972年生まれ。1997年に人材コンサルティング会社ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活躍コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。
女性誌での執筆活動や講演多数。ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。
現在、婚活結社「魔女のサバト」を主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネジメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る2児の母。著書に『やっぱり結婚しなきゃ!と思ったら読む本~35歳からのナチュ婚のすすめ』(河出書房新社)など。