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「幸せをおすそ分けできる人」を探すのが婚活 発想を転換してみたら…【荒川和久×トイアンナ③】

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魔女のテラス 「幸せをおすそ分けできる人」を探すのが婚活
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オンラインサロン「魔女のサバト」を主宰する、トイアンナさん、金澤悦子さん、川崎貴子さん「結婚しなくても幸せになれる時代」の恋愛や結婚について考える当連載。

荒川さんトイアンナさん

第1回目はゲストとして独身研究家の荒川和久(あらかわ・かずひさ)さんが登場。結婚したくてもできない「不本意未婚」にスポットを当てて、トイアンナさんと対談していただきました。全3回。

目次

まずは「自分が幸せになる」ことに集中する

トイアンナさん(以下、トイアンナ):今、マッチングアプリや結婚相談所の婚活者は、過去最多を記録*しています。

*婚活実態調査2022

荒川和久さん(以下、荒川):「婚姻増にマッチングアプリは何も寄与しませんよ」って言うと怒られちゃうかもしれないんですけど……。

トイアンナ:マッチングアプリに、少子化を止める力はないですよね。だって、恋愛強者が使ってるだけですから。

荒川:そうなんですよ。街のナンパのデジタル版でしかない。それはそれでいいと思うんですけど、恋愛弱者にとってはあまり役に立たない。

ただ、結婚相談所は、もうちょっと視点を変えたほうがいい気がします。結婚相談所の中にも、スーパー仲人みたいな人がいるんですよね。その人たちは、結婚相手の条件を聞き出して、いい相手を見つけ出して、マッチングさせる能力がある人じゃないんです。むしろ、その人の幸福度を上げられる人たちなんです。結婚してもしなくても「あなたの幸せはなにか」ということに気づかせてくれる。そして、その結果、みんな結婚していくんですよ。

結婚させる人たちじゃなくて、「自分一人でも幸せなんだ」と思わせてくれる人たち。つまり、「自分の幸せをおすそ分けできる人がいたら、もっと幸せになるんじゃない?」という発想の転換なんです。「誰かと結婚したら幸せになる」じゃなくて、「自分の幸せをおすそ分けできる人を探したいと思いませんか?」という方向に持っていくことが大事なんですよ。

トイアンナ:私が主宰者のひとりである、婚活予備校『魔女のサバト』という団体でも、「結婚してもシングルでもいいか」って選択肢をフェアにお話させていただくと、みんな結婚するんですよね。結局、シングルであることに踏ん切りがつかない人は、結婚してない自分が不安で不安で仕方ないわけです。だから、そういう人には情報を提供する。

例えば、ファイナンシャルプランナーに講演会をしてもらって、「年収○○万円の人はこうやって貯蓄していけば、将来の不安はないですよ」という話をしたり。あと、趣味のサークルなんかを始めたらどんどん幸せになって、「シングルでもいいか」って言い出すんですけど。そういうときに婚活すると、スパッと結婚するんですよ。だって、楽しそうな人には楽しそうな人が寄ってきますから。

荒川:前回、話したことと一緒ですよね。「結婚したい」ということにとらわれず、「自分が幸せになる」ということに注力すると、勝手に縁がやってくる。

不本意未婚の24%は、経済的な理由を抱えている

トイアンナ:ただ一方で、今の結婚相談所は、一人の結婚相談員、一人の仲人さんが、50~60人を見てますよね。そうなると、スーパー仲人になるのは、すごく難しい環境なのかなと。

荒川:婚活者をさばくことに一生懸命になり過ぎちゃって……。結婚相談所も、今やマッチングアプリ化してるんじゃないかな?

トイアンナ:そう思います。仲人さんの存在が、建前の存在になってしまっていて。「自分で検索して、自分で勝手に会ってください」という仕組みになってしまってるんです。それだと、独身証明書があるだけのマッチングアプリですよね。だから、不本意未婚が減らないんじゃないかと考えていて。そうなると、不本意未婚を減らすためには、幸福人口を増やすしかないですよね。

荒川:「幸福人口を増やしましょう!」って言うと、宗教っぽくなるから、あんまり言いたくないんですけど……(笑)。僕は、「不本意未婚の中の不幸な人が、幸福になる」ということまでは、ちょっと救えないんじゃないかと思っていて。

そうは言っても、40%いる不本意未婚のうち、24%は「お金がないから結婚できない」と言っているわけです。不本意未婚の半数は、経済的な理由を挙げてるんですね。だから、お金の問題を解決するのも一つの手だと思っていて。ただし、バラマキでは意味がありません。例えば、飢えた人に魚を配っても、魚釣りの仕方を教えなければ、また飢えてしまいますよね。だから、基本的には、自分で稼ぐという経済環境を作ってもらわないといけない。

そもそも、可処分所得が300万円にも満たない20代が半分もいる世界って、ヤバくないですか?「年収300万円ぐらいあれば結婚できるのに……」と思ってる人が、その問題をクリアすれば、不本意未婚の24%は解決するんじゃないかと思います。少なくとも、その24%を解決しただけでも、ずいぶんと婚姻率が上がるんですよ。だから、現実的な解決方法としては、その部分はケアしてあげたほうがいい。

トイアンナ:これまで、「不本意未婚をどうやって減らすか?」というお話をしてきました。まずは、幸福な人生を歩もうとしてみること。そして、幸福になるためには、幸福だと自分が感じることが大事だということですよね。また、お金がなくて結婚できないという人は、稼ぐ手段を見つける。あるいは、国がスキルアップを支援する。

荒川:そもそも、430万人の未婚男性が余るんです。女性が全員結婚しても、430万人の男性は相手がいないんですよ。

トイアンナ:男余りですもんね。それと、世間の誤解だと思うんですけど、「結婚したいのは女性ばかりで、男性は別に結婚したくない。だから、未婚化が進んでいる」という話がありますよね。幸福度の観点から見ると、真逆ですよ。

荒川:あと、年齢のズレがあります。女性が結婚したいと思う20代のときに、20代の男性は結婚したくない。むしろ、「まだ遊びたい」とか、「自由でいたい」とか。それで、女性が「もう結婚はいいかな」と思い始めた30代以降で、男性が急激に結婚したがるんです。昔はそれでも、年上婚でマッチングできたんですよ。でも今は、同類婚だから、年齢のズレが致命的になるんですよね。

トイアンナ:昔は、年齢がズレることで、うまくマッチしてたんですね。

荒川:そうです。今は、年齢がズレると、マッチングできない人が増えてしまう。

トイアンナ:それは結構深刻な問題ですね。

「居場所」ではなく「出場所」

荒川:不本意未婚の人が「結婚できないから不幸になる」という視点から、「不幸じゃなくなる可能性がある」という視点に切り替えることが大事だと思っていて。

老人ホームなんかでも、「みんなと一緒に暮らせば楽しいし、寂しくない」という決めつけもどうかと思います。だって、一人暮らしが快適な高齢者もいるわけです。一人暮らし=寂しい=孤独ではありませんから。いずれにしろ、単身世帯が4割を超える時代になるので、そういうところもちゃんと考えなきゃいけない気がしますね。

僕が言っている「接続するコミュニティ」というのは、“出場所”なんですよ。つまり、「出かけていく場所をつくりましょう」ということ。どこに住んでいても、誰と住んでいても構わないんだけど、出かけていく場所をいろいろ用意しておくと、それだけで人生が楽しくなるんじゃないかな。要するに、“居場所”じゃなくて、“出場所”ですよね。

“出場所”をたくさん持っているということは、基本的に「行動する」ということ。「朝起きて、やる気がないから動けない」じゃなくて、動いたらやる気が起きるじゃないですか。だから、行動することによって、その先に幸せがあるというか、“出場所”があるだけで幸福になって、その結果、結婚まで行っちゃうパターンもあると思うんですよ。

トイアンナ:そうですね。

荒川:幸せな人は、その刹那刹那で、「幸せだなぁ」って感じられるんです。それは、感受性の問題だと思うんですよ。不幸な人だって、実は幸せな瞬間がたくさんあるのに、感じてないだけのような気がするんです。だから、「自分の周りに幸せな瞬間がたくさんある」ということに気づくことが大事だと思いますね。

結婚がすべてではないけれど…婚活の川で溺れている人に伝えたいこと

トイアンナ:今回は、婚活と結婚がテーマだったんですけど、最終的に、「自分が幸せだという視点に変えられたら」というお話でした。ウートピ編集部からも「結婚というよりも誰かと一緒に生きていくという視点で話を展開してください。結婚がすべてのような見え方にならないようにしてください」と言われていたんですが、でも今、婚活の川で溺れている人に、「幸せを感じることが大事だよ」と言っても、「ふざけんな!」って言われると思うんですよ。そういう人に、どんな言葉をかけたら、「とりあえず視点を変えてみよう」と思ってくれるのでしょうか?

荒川:対岸に幸せがあるとして、そのための川を渡る方法として、大きな船に乗ることだとするじゃないですか。そうは言っても、船に乗せてもらえない人、泳いでいって溺れてしまう人がたくさんいるというのが現状ですよね。でも、橋をかけるという方法もあるわけですよ。ただ、自分一人では橋をかけられないので、誰かに協力してもらったりして、橋をかけることに夢中になっていると、いつのまにか結婚してるんじゃないかなって。

つまり、「視点を変えてください」ということ。「泳げ」と言われたからって無理に泳がなくていいし、向こう岸に渡るためには船とか泳ぐ以外にもあるし。もちろん、すでに溺れてる人は救助しなきゃいけないんですけど、溺れる前の話として、「川に飛びこまなくてもいいんじゃない?」って。

トイアンナ:今は確かに、不本意未婚とか、少子化とか、婚活をテーマにした課題が山積みなんですが、「なぜその川に泳ぎ出すのか?」という問いを、自分自身にしてもいいんじゃないかと。

荒川:昔は、護送船団方式で、必ず全員が乗れる船を用意してくれたんですけど、今はそういう時代じゃない。船はないし、泳げないのに泳げと言われても、それは溺れるでしょう? という話ですよ。

トイアンナ:そうですね。泳ぎ方を教えてくれる本はあれど、やっぱりスイミングスクールに行かないと、泳げるようにはなりませんよね。婚活においても同じで、本も役に立ちますけど、結局泳ぐのは自分自身だし。それに、泳がなくても幸せになれる選択肢がこれだけある中で、「本当に泳ぎたいのか?」ということを心から考えて、「自分がどう考えていけば幸せなのか?」ということを問いかけられるといいですよね。

荒川:多様性とか選択肢があると言いながら、案外みんな選択肢を狭めてるんですよね。本当はもっと選択肢があるはずなのに、自分で自分の選択肢を狭めてるような気がするんです。

トイアンナ:「結婚しなきゃ!って、なんで思ってるの?」というところですよね。

「自分が好きな人」=「結婚に向いてる相手」とは限らない

荒川:実際、いい加減な人が恋愛して結婚していくんですよね。

トイアンナ:まさに、そういうことなんですよ。「真面目な人が、真面目に不真面目をやらなきゃいけない」というのが、今の婚活の道化っぽいところで。「不真面目な人はどうやって結婚していくのか?」とか、「真面目な人はどんな変遷をたどっていくのか?」とか、そういったところも今後追っていければ面白いと思ってます。

荒川:婚活をしているときは、パラレルで付き合うわけじゃないですか。その中で、本人たちは、「一番いい人とマッチングしたい」と思ってますよね? でも、案外、人間の相性って、自分が一番いいと思ってる人が一番いいとは限らないですよね。そこが問題だと思っていて。お互いが、自分の自己最適を選ぶことによってマッチングしないっていう。

トイアンナ:そうですね。自分が選ぶから最適だとは限らないですね。

荒川:ずっと婚活してる人、結婚相談所でマッチングしない人のジレンマって、そういうところにあるのかなと思って。「また断られちゃいました」って言ってるけど、実は自分も別の人を断ってるんですよね。そこが問題のような気がして。

トイアンナ:自分にとっての最適な人間が分からないっていうところは、婚活の面白さではあるんですけど。『魔女のサバト』では、自分が好きな人ではなくて、自分との結婚に向いてる人を査定するためのプログラムを組んだりしています。最初に、自分の理想の人生に必要な条件を出していただきます。続けて、「それに付き合いきれる男性はどういう人か?」という視点でお相手に求める条件を書いてみる。そうすると、世間体から離れて、「自分が幸福なときに付き合いきれるパートナーはどんな人なのか?」ということを考えるんですが、全然違うタイプが出てくるんですよ。

荒川:視点を切り替えただけで、「もしかしたら、私はこういう人と相性がいいのかもしれない」という発見がありますよね。それはすごく大事だと思います。

トイアンナ:婚活において、好きと幸福が、ごちゃごちゃになってるんですよね。

荒川:好きな人が幸福にしてくれるわけじゃないんですけどね。都市伝説みたいなもので、「一番大好きな人とは結婚しない」とかあるじゃないですか。「○番目に好きな人と結婚する」みたいな。これは、あながち間違ってなくて、一番好きな人と結婚するのは、むしろ不幸なんじゃないかと思うんですよね。

トイアンナ:その可能性もありますね。もちろん、合致して幸せになるパターンもありますが、ロミオとジュリエットがもし生きてたら、幸せに結婚したかは謎ですよ。

ただ、そこに関して、女性は自覚的なんですよ。「なぜ結婚に向かない男を好きになっちゃったんだろう?」とか、「なぜ結婚に向いてる男を好きになれないんだろう?」っておっしゃいますね。

荒川:「自分が好きになる男」と「結婚に向いてる男」がちょっと違うということが、もうちょっと認知されるといいんじゃないですかね?

トイアンナ:うーん。みんな知ってるんだけど、それをSNSに書くのが耐えられないだけです。なぜなら、「あなたは恋愛結婚できない」という烙印(らくいん)に見えるから。例えば、「好きになるタイプと結婚して幸せになれるタイプは違うんですよ」って私が言うと、Twitterに「私は好きな男と結婚して幸せですけど」みたいな引用リツイートがついて、めちゃくちゃマウンティングされると思います。そして、それを見てしまった未婚女性が、「やっぱり結婚は好きな人とするのが一番なんだろうな」って思っちゃうわけです。

荒川:そうやってマウントしてくる引用リツイートに、「こういうことを言ってくる人は、本当に幸せじゃないので、相手にしないでください」って書けばいいんじゃないですか?

トイアンナ:もう、地獄ができるだけですよ(笑)。

荒川:なるほど(笑)。まあ、マウントする人は、絶対に幸せじゃないと思うんですけどね。

トイアンナ:「好きと幸せは違うよね」という話を、もうちょっと知ってほしいですよね。別に、好きを突き詰めて、身を放り投げる結婚をしたければすればいいんですけど、それがないからって不幸ではないんです。

それこそ、私の初婚は、「好き!」「結婚する!」「終わり!」でしたよ。そうやって結婚する人もたくさんいるでしょうし、結果的に、夫婦としての相性も問題なくて、持続するケースもあるでしょうし。「子供ができたから離婚できない」と言ってダラダラ続くケースもあるでしょうし。あとは、情で続けていくケースですよね。結婚して、単純接触効果で情が生まれて、「まあいっか」みたいな感じで、恋愛から情に移行していくパターンというか。

荒川:若いうちしか、好きで突っ走れないと思うんですよね。婚活をしている人たちは、それなりの年齢を経ているとすれば、好きだけではなく、ちょっとだけ視野を広げてみるのが大事なんじゃないかな。

トイアンナ:そうですね。好きな相手と結婚して、情に移行していくというのが、みんなの理想なんですけどね。なかなかそうはいかない世の中ですから、そうじゃなくても結婚していいし、幸せの形は一つじゃないし。好きな人と結婚して、ずっと好きが続くことが、誰もが称賛する結婚生活でもない。こういう話が広まって、もうちょっとリラックスして、婚活や結婚の話ができる世の中になればいいなと思ってます。

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この記事を書いた人

「魔女のテラス」編集部です。私たちは女性の結婚を応援するメディア「魔女のテラス」を運営しています。代表3名の共著『やっぱり結婚しなきゃ! と思ったら読む本: 35歳からのナチュ婚のすすめ』(河出書房)を、ぜひご覧ください。

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