婚活予備校「魔女のサバト」の青魔女・トイアンナさんと恋愛コラムニスト・浅田さんに、今後の日本の恋愛と結婚について対談していただきました。全3回。
※対談は2024年2月に行われました。
恋愛や結婚は贅沢品。時間とお金があって、初めてスタートラインに立てる。

浅田:コロナ以降、仕事が多いということが恋愛に与えている影響が大きくなってきていると感じています。
トイ:それはそうですね。今の世代における時間のなさとお金のなさは、もはや貧困問題です。
浅田:僕はシェアハウスをいくつか大阪で展開してるんですが、すごく衝撃を受けたことがありました。定職につけないとか、仕事がないとか、思うように働けない方もたくさんいたのです。こういう人たちの方が世の中には多いということに気付かされて、彼らの恋愛は今後どうなっていくのか、という点は今後の課題だと思います。
トイ:シェアハウスでは恋愛のトラブルが発生することはないんですか?
浅田:今はほぼ女性専用シェアハウスなので、内部で恋愛トラブルは起こりにくいです。でも、男女どちらとも利用できるようにしていた頃はそれなりにありましたね。
トイ:それはケースバイケースの崩壊があるのか、それとも結構崩壊のパターンが決まっているのか、どちらでしょう?
浅田:後者ですね。愛想の良い女の子が入ってくると、まず男3人くらいが惚れるんですよ。そのうちの1人と女の子が付き合い始めると、残りのフラれた2人が居心地悪くなって、シェアハウスに不満を漏らしたりとか。ちょっと愚痴を言い始め、最終的には退去します。カップルはカップルで、ワンルームを借りて退去するんですよ。
そして誰もいなくなったっていう状況になります。1つの恋愛につき4人退去ぐらいが平均です。
なので、ビジネスとして成立しないっていうのがご回答になりますね。
トイ:私、「魔女のサバト」で、「どうしても結婚したい人は家賃7万円以上の場所を選んで、シェアハウスもアリ!」って言っていたけれど、場合によっては「ナシ」かもしれませんね……。
浅田:もちろんシェアハウスによると思いますけれども。
トイ:昔は、女性は玉の輿とか、年収を飛び越えて結婚できるとか夢としてあったわけですが、収入などによってコミュニティが分断されていくとそういうこともなくなりそうですね。
浅田:そうですね、どんどんクローズド化していってますし、それは加速化すると思っています。
トイ:浅田さんは恋愛コラムニストになられて6年が経ちますが、この6年間で体感するぐらい物価は上昇したのに、年収は上がっていないですよね。そう考えると、やはり恋愛はこの6年でも贅沢品に変わったと思います。
共働きですら、結婚したかったら結婚相談所に入ってデートしなきゃいけないし。
デートそのものにもお金がかかりますし、デートのために服や美容を考えるとボロボロお金が落ちていきます。そこに耐えられない人は増えているでしょうね。
浅田:恋愛は生存欲求が満たされて初めてできることなので、お金の問題が解決している人だけが手にできる贅沢品ですね。全体的に金銭的な余裕がなくなってきている近年、「恋愛とか言っている場合じゃない!」という時代はすぐそこまで来ていると思います。それが加速していくと、遺伝子を残せることも贅沢になり得るだろうし。今ですら、卵子凍結とかって高額な費用を払える人しかできないじゃないですか。
トイ:そうですね。保険適応とはいえ。
浅田:なので、やっぱりお金があればあるほど遺伝子を残せるというのはあると思います。ちょっと進みすぎな議論かもしれないですけれど。
恋愛コンテンツは減っている!? 恋愛メディアの今後を語る

トイ:浅田さんは恋愛コラムニストがキャリアの半分以上になっていませんか?
浅田:そうですね。恋愛コラムニストの適性があると思って始めたわけではないんですけどね。ライターを目指す人とか、文章で食べたい人が一旦恋愛でその道に入るっていうのは、マーケティング的な正解ではありそうですけれど。
トイ:それはそうですね。ただ一方で、恋愛コンテンツそのものが減ってきている感じがします。今、noteを恋愛で検索してみたんですが、いわゆる恋愛記事が驚くほどないんですよね。10年前にもしnoteができていて、サービスとしてこれだけ流行っていたら、多分恋愛だらけだったと思うんですよね。
浅田:恋愛コンテンツが減っているというより、ただ単にテキスト系の恋愛メディアが減って動画が増えている可能性もあります。
トイ:tiktokだと結構恋愛系多いですしね。
浅田:人はどうしても恋で悩みますから。パパ活女子がバズるtwitterは変化球になっていて、直球なものは動画に行ってるんじゃないかな。
トイ:それはそうですね。というか、文章を読む人の求めているジャンルが恋愛ではないのでしょうね。
動画よりテキストが主体でインターネットをやる癖がついている35歳以上には、偏った情報ばかりが入ってくるようになっているかもしれません。自分の婚活より歌舞伎町に詳しくなるっていう。
テキストの需要がある層が高齢化しているから、少なくとも第2のテキストブームが起きない限りは、恋愛はどんどん下火になるでしょう。でも、動画加工できる人は恋愛のコンテンツをtiktokなどで発信することによって、別にファンを獲得していけるわけですね。
浅田:特にコロナの時に動画市場がすごく伸びたので、そこでテキストは需要を取られてしまった感じがしています。
トイ:みんなずっと動画見て暮らしていましたね。しかも家にテレビない層増えてるから、動画が本当にyoutubeか、tiktokになっちゃうっていうイメージです。
浅田:逆に言うと、恋愛ほどのパワーコンテンツであれば、文章でもまだギリギリ食べていけるかどうかというところな気がします。
トイ:そうですね。逆にそれぐらいまだパワーがあるってことですね。
浅田:恋愛自体はいつの時代もパワーがあるコンテンツだと思いますよ。
今回の対談ゲスト 浅田さん@令和の魔法使いのプロフィール

恋愛コラムニスト。恋愛本「わたしは愛される実験をはじめた」「宇宙が終わるまでに恋したい」「ラブスペル」出版。漫画化もされる。自身のSNSが「恋が叶うオンライン恋愛神社」と呼ばれだし、恋に悩める乙女たちの参拝メッセージによってDMが24時間ナイアガラの滝のように流れている。この瞬間にも流れている。
今回の対談を主催した 魔女のサバト トイアンナのプロフィール



恋愛ライター。外資系企業でマーケティングを経験後、2015年に独立。
ブログでキャリア女性の生きづらさを書いていたところ、50万PVを記録。
そこからは派生して、Webメディア運営代行会社を創業。著書『恋愛障害』『モテたいわけではないのだが』など。2023年、第1子が誕生。

