まじめで頑張っている女性ほど恋愛と結婚がうまくいかない……」そんな人に魔法をかけるべく、女性の人生のプロたちが結集した「魔女のサバト」。これは、“白魔女”こと金沢悦子さん、“黒魔女”こと川崎貴子さん、そして元サバト生で今は“青魔女”のトイアンナさんが、悩める女性と一緒に、自分らしく生きる方法を考え実践する婚活勉強会です。9年前に発足してから500人以上が卒業し、それぞれの幸せを手に入れています。
これは、「魔女のサバト」のイベントレポート。スペシャルゲストは、『今すぐ!最高の彼に出会うための マッチングアプリ恋愛術』(KADOKAWA)の著者・おとうふさん。マッチングアプリのプロである彼女に、黒魔女・川崎貴子さんが鋭い質問を連投。あなたの婚活のヒントが見つかるはずです。1回目はマッチングアプリの使い方の心得について、今回はどのように相手を見つければいいか、具体的に紹介していきます。
マッチングアプリのプロフィール添削のプロとして活動。「モテない」というコンプレックスを克服するためプロフィールを徹底研究。マッチングアプリ「Pairs」で都道府県別1位(最高2000+いいね!)を獲得。300人以上と出会った経験を持つ。日本心理セラピスト協会認定心理セラピストの資格を生かし、プロフィール添削・作成、写真選定サービスなど恋愛のサポートを行っている。テレビ番組『マツコの知らない世界』(TBS)などメディア出演や、セミナー、執筆、監修記事を多数手がける。
どうする?「ピンとこない問題」
川崎貴子さん(以下、川崎):これまでお話をして思ったのですが、「自分はどんな結婚をしたいのかを明確にすること」がやっぱり一番大切なようにも感じました。
おとうふさん(以下・おとうふ):そうなんですよ。例えば、「代々弁護士をしています」というような男性と付き合いたいなら、アプリよりも結婚相談所がいい。そういう方がアプリで相手を探しても「なんかいい人がいない」「ピンとこない」と思うだけ。あっという間に時間が流れてしまいます。
川崎:「ピンとこない問題」ですよね。これは婚活女性のあるあるで、典型的なお悩みだと感じます。この「ピンとこない」について、私なりに考察したところ、ベースに過去の彼氏、かつて好きだった人、そして父親がいることが多いと感じています。
おとうふ:過去の男性以上の人を求めてしまうと、婚活は難航する傾向があります。
川崎:ベースにこれまでの男性モデルがいて、それ以上の人や、さらにときめきを求めてしまうと可能性がとても狭くなる。それが「お父さん(実父)」になると目も当てられない。婚活男性が、父親のように持ち家もあり高収入で、娘を認め、何があろうと愛してくれるなんてありえませんからね。「お父さん」のスペックをそろえるのは、ポーカーのローヤルストレートフラッシュより至難の業。
おとうふ:仮にスペックを備えた人がいても、「話がおもしろくない」とか「ときめかない」とか思ってしまうんですよね。
川崎:そう。なので、一度それを取り払って、相手と向き合うことは大切だと思うんです。話がおもしろいとか、笑顔がかわいいとか、自分の心が動くというところにフォーカスする。まあ、その結果「かわいくて世話したい」と思って、ダメ男を捕まえてしまうケースもあるんですが。
おとうふ:キャリア女性の「あるある」ですね。やはり、改めて恋愛と婚活が全く違うということを腹に落とす必要があると思います。恋愛は「ピンときた人」と関係を発展させます。婚活は自分のライフスタイルを明確にし、一緒に生きていく人を探すこと。婚活で「ピンとくる人」を探すのは、かなり難しいんだよねと思います。
スペックを超えたところに愛と結婚はある
川崎:おっしゃるとおりです。だから、私は婚活中の人へのアドバイスは、「普段は積極的にならない人と会ってみたら?」と伝えることが多いです。スペックを満たしていなくても、ピンとこなくても「何か合う人」というのはいるものです。
おとうふ:マッチングアプリでも同じことです。選択肢の幅を広げることがとても重要。婚活に成功した人の話を聞くと「最初、この人と結婚するなんて思ってもみませんでした」と語る人が多いんです。理想の人を追い求めていたのに、何かのきっかけでその人に会い、引かれ合って結婚に至るのです。
川崎:スペックを超えたところに、愛と結婚はある。それは、温かな親愛の情、安心感、心が落ち着く相手……それは後に、表面的なときめきや条件を吹き飛ばすくらいの力がある。
おとうふ:「こうじゃないと幸せになれない」という思いは皆が持っていると思います。それを緩めてあげることも大切。固定観念をなくすことは、自分も楽になるし、最短距離で結果を出しやすくなるはずなんです。
川崎:固定観念の刷り込みは誰でもありますからね。親の意見、友達にマウントできる、同級生のあの子よりいい条件の人と結婚したい……でも、それは本当に必要なのか、自分の胸に手を当てて考えてみるといいと思います。「男脳女脳はない」と考えられている時代ですが、私はあると思うんですよね。もちろん、例外があるのは大前提ですが、集団的な傾向はある。
私は人材紹介会社を長年経営してきたのですが、男性の転職希望者が提示する条件ってせいぜい3つくらいなんです。業種のほかに「上場している、年収、ポジションと裁量」程度。これが合致したら取り合えず面接には行きます。一方、女性の転職希望者の条件は10以上ある。例えば、会社の男女比率、女性の管理職比率、オフィスの場所やどのビルに入っているか、社内風土など。これらの条件が合致して面接に行っても「ピンと来ませんでした」と断ることも多いのが女性。これはどっちが良いとか悪いとかではなく性差だと思うのです。
優先順位は?「3つのイエス」を決める
おとうふ:婚活についても同じことがいえます。例外はありますが、男女の傾向はある。これってどうすればいいんでしょうか?
川崎:サバト生には、「3つのイエス」を決めてくださいと伝えています。例えば「理系・眼鏡・痩せ体形」など。これを自分で決めて、周囲にも伝える。周りの人も紹介しやすくなりますよね。「私の通ってる料理教室に、理系・やせ形男子がいる。眼鏡はないけど」みたいに。3つのフックを作っておくと、そこに引っかかった人が、自分にも友人知人にも見えやすくなるんですよ。
おとうふ:確かに! 婚活がうまくいく人は、優先順位が明確です。例えば、「金持ちと結婚する」と「年下のイケメンと結婚する」とか、高望みのように見えても、明確だから話が早い。それよりも、「年収は気にしなくて、できれば普通の体形がよくて、定職があれば正社員でも非正規でもいい」というような人は、なかなか進まない傾向があります。
川崎:条件で表示されるマッチングアプリの場合、外せない条件を明確にしていないと、迷っているうちに、歳月が秒で流れてしまいますよね。いろんな男性から「いいね」され、楽しくいい気分になっているうちに年を取ってしまう……まさに現代版『浦島太郎』のように。
おとうふ:そうなんですよ。「いいね!」で自分を見失なったり、カン違いする人は多いです。アプリをやっていると「年収3000万円の経営者や医師から、いいねがきた」とかザラにあります。向こうは惰性でいいねを付けているだけで、真剣さはないのにそう思ってしまうんです。
川崎:単なる「かわいいね」とか「会えたらラッキー」程度なのに、好かれていると勘違いする。それに、そのスペックだって、アプリによってはウソの可能性も・・・。
おとうふ:だからこそ、自分の理想の結婚生活はなんであり、どういう人だったら、幸せになれるのか、優先順位をつける。絶対にブレてはダメなんです。マッチングアプリにおいて、ここが揺れ動くと、足元をすくわれる。そんな私だって、ハイスぺ男子から「いいね!」がきて、気持ちが動いたことは何度もありました。だから、私は婚活中にスマホの待ち受け画面を「譲れない理想の男性像」にしていました。働く私の隣で料理を作ってくれる男性という画像を合成して作ったのです。それを見て「ハイスぺ医師に心が動いてる場合じゃない。私が結婚するのは料理する男性だ」って言い聞かせていました。
川崎:徹底していて素晴らしい。待ち受けだから、いつも見るので忘れませんよね。人は忘れやすいから。私もサバト生に「3つのイエス」の紙を常に見るようにアドバイスしています。結婚に向いている人は、他の人からも人気がある傾向があるし、スピード勝負だからこそ、フックは常に意識しておかねばならないよ、と。
おとうふ:そんな相手を見つけたときは、瞬発力も必要です。反射神経レベルで対応しないと捕まえられないことも多々ある。
川崎:ところで、おとうふさんは、結婚しているお相手をアプリで見つけたとのこと。
おとうふ:それこそ、フックを常に意識していたから、夫のプロフィールを発見したときに「この人が私の運命の人だ」と衝撃を受けました。条件も合っていたのですが、プロフィールに「料理を作るのが好きです。仕事も好きですけど、人に手料理をふるまうと幸せ」というようなことが書かれてあったんです。加えて私は、シャンプーしてくれる男性がいいという、明文化していないこだわりがありました。もちろん、そんな人いないだろうなと思いながらも、メッセージで伝えると「美容師だから、シャンプーもしてあげられます」と。それで会ってみたら、ドンピシャのタイプの人だったんです。
川崎:うわああ!!! やっぱりフックって大事!!! フックは心がけひとつで意識できるのもいい。条件とも親和性が高いですから、合う人に会いやすくなる。
おとうふ:チャンスはいつも目の前を流れていて、それを捕まえられるのは気付けるかどうかなんですよね。やはり、自分のフックを定めることは大切だと思います。
川崎:マッチングアプリの検索結果で「いいと思える人が全然いない」という人は、「3つのイエス」を実践し、フックを意識するといいと思います。
SNSのチェック 会う前にやること
おとうふ:それに加えて別のアプリを使うのも有効です。私もかなり使ってみたんですが、相性が合わないアプリは、出会いもない。
川崎:どんな違いがあるんですか?
おとうふ:例えば、「Pairs」に登録している男性は、陽キャより陰キャが多いと感じました。「tapple(タップル)」はノリがいい人が多い。真剣な婚活をしている人が多いのは「Omiai」ですし、年齢層が高いのは「マリッシュ」などなど。
川崎:マッチングアプリはたくさんありますからね。「これはやめたほうがいい」というアプリはありますか?
おとうふ:真剣に結婚相手を探すなら「tinder」はやめたほうがいいです。なぜなら、あれは近くにいる人と出会うツールであり、条件で検索するものではないから。男性の真剣度は低い傾向にあります。もちろん、「tinder」で結婚した人もいますが、なれそめを聞くと、「引っ越して寂しかったから飲み友を探し、マッチして飲むうちに付き合うことになった」というような人が多い。
川崎:結婚を前提とした関係ではなく、飲み友からの発展。
おとうふ:そうなんですよ。そういう相手と結婚に到達する確率は、宝くじ並みだと思うんです。やはり、婚活なら検索型です。
川崎:なるほど。マッチして、メッセージでやり取りして、相手に会う前にすべきことはありますか?
おとうふ:それはSNSのチェックです。私もかつてお付き合いした人が「SNSをやっていない」と言うのでうのみにしていたのですが、よく調べるとInstagramをやっていた。そしてストーリーを見ると、同棲中の彼女が映り込んでいる。冷静に考えると、この時代にSNSをやっていないほうが超少数派なのに。
川崎:そうなんですよね。キャリア女性は、SNSを見る専門に使ってる人が多い。自分はやっていないから、相手もやっていないと思うのは早計というもの。
おとうふ:最低でもFacebook、Instagramはチェックしたほうがいいです。そこに恋人や家族の影がちらついていたら、会わないほうがいいです。
川崎:みんな、メモしてる?? テストに出ますよ(笑)。Twitterも本人と特定できるなら見たほうがいいですよね。女性嫌悪とかネトウヨとか、差別的発言とかそういうダークな部分を垂れ流している人は少なくない。人間性を見るならTwitterだと思っています。あ、そうだ、もうひとつ質問があるのですが、メッセージのやり取りだけで疲れてしまい、会うまでに至らない人はどうすればいいんでしょうか。
おとうふ:この相談もよくいただきます。そもそも、マッチした人と会うまでのメッセージのやり取りが楽しいという人はほとんどいません。定型文のコピペでやり取りしている人もいるくらい、つまらないんですよ。だからこそ、自分で期限を決めることが大切だと思います。例えば、約束をとりつけるまで3日なのか、1週間なのか、リミットを設定し、それまでに約束ができなければ、深追いしないくらいの線引をしたほうがいいと思うんです。
川崎:締め切りって本当に大切。それは婚活そのものもそうですよね。半年とか1年とかリミットを決めることは大切。この期間は自分のことを後回しにしないと決めれば、短期で目的まで到達しやすくなります。婚活も仕事も同じなんですよね。出てきたタスクはスケジュールに入れて、速やかに実行する。この繰り返しです。
おとうふ:婚活は究極のプライベートですが、決めた期間中は、後回しにしないと決める。緊急度が低いから、どんどん先送りした結果、歳月だけが流れていることに。真面目な人ほどその傾向は強いと感じます。
川崎:そうなんですよ。だからこそ、ロスカットがしたいんです。マッチングアプリの失敗例って他にはどんなことがありますか?
おとうふ:とても多いのは既婚者、あとは、自分は付き合っていると思っていたけど、セカンドだったとか。そういえば、私が婚活中、結婚を前提に付き合っている男性がいたんです。でも、彼は学校の先生だから、なかなか会えなかった。あるとき、Twitterに「私の彼氏は先生だからなかなか会えない」とつぶやいたら、友達から「私の彼氏も学校の先生なの。会えないよね」とLINEが来たんです。それで、ふとした流れから写真を見ることになり、友達が彼氏だと言っていた男性は、私の彼氏だった。
川崎:え????? 同一人物ってこと?
おとうふ:はいそうです。「いつから付き合っている?」って話になり、私は10月で、彼女が11月だったんです。それでちょっとした口論になってしまった。その後、彼に問い詰めたら、「ごめんなさい」と言われて、別れることに。友達ともぎくしゃくしてしまい、それきり疎遠に。
川崎:ふたりは彼の好みだったのかもしれませんね。
おとうふ:言われてみると彼女と私は似ていました。ショートカットで顔も雰囲気も似ていて、男性の好みもかぶっていた。「合コンに行ったらあかんやつ」と思っていたら、マッチングアプリを介して事件が起こったんです。
失敗しないプロフィールの書き方
川崎:結婚する前にわかってよかった。そのまま知らなかったらと思うと……ホラーですね。ところで、マッチングアプリの失敗を避けられるプロフィールの書き方はありますか?
おとうふ:アプリを使いこなすコツは、出会いの幅を広げることにあるんです。自分の要望の書き方の工夫は必要だと思います。例えば「こういう人はお断り」という条件が多い人は、精神的に幼いと思われてしまい、自立した男性からはやっぱり選ばれにくいです。
川崎:それはありますね。してほしいことばかり伝える人は避けられる。
おとうふ:あとは、「甘えさせてくれる人がいいです」も書かないほうがいいかもしれません。「甘えさせてやるよ」というモラハラ化するような人を寄せ付けてしまう可能性も高まります。
川崎:ああ、本当にそう。あと、人間って不思議なもので、同じような人同士が引き寄せられるんですよね。類友の法則と言うか。自立した人とつながりたければ、成熟した大人であることが伝わるプロフィールにする必要がある。
おとうふ:そうなんですよ。だから、相手に求めることを書くときに、何か譲歩する姿勢が見え隠れするといいと思います。例えば、「ドライブに連れて行ってほしいです」だけではなく「助手席でナビします」とか、「私も運転ができるので、交代もします」などと書き添える。すると、真剣に婚活している男性が、「この人なら、お互い支え合っていけるかも」とマッチする可能性が高まる。
川崎:うまい! って、さっきから膝を打ちっぱなしですよ(笑)。エッジを立てたり、ピンポイントを狙わなくてもそう書けばいいんですね。
おとうふ:もちろんエッジも大切だとは思います。「掃除が大好きで、1日3回は掃除しないと気がすみません」と書くなら、「でもそれは、相手には求めません」と書き添えておく。「最近の新しい経験は、海外で虫を食べたこと。でも、お相手にはすすめません」と書けば、ユーモアの雰囲気も醸すことができます。そういう一言に人間性が出ます。
川崎:一言添え、大事。勉強になります。これは、社会人としてのコミュニケーションにも使えますね!