日本最大級の婚活予備校「魔女のサバト」の代表・川崎貴子さんと、累計5,000人以上の人生相談にのってきたライター、トイアンナさんが対談しました。全3回。
最初の「自分だけ結婚してない」ことに悩む女性が成婚する方法 川崎貴子xトイアンナ対談①から読む>
婚活女性が陥りやすい罠⑤ 女子会フィードバックで甘やかされる
トイアンナ(以下、トイ):婚活の罠はいろいろありますが、結構大きな落とし穴といえば「女子会のフィードバックだけを真に受ける」ことです。
かつて、ある友達から「結婚したいけど、いい出会いがない」相談を受けました。
それで、どんな人に出会いたいかの条件を聞いたんですね。そうしたら、50個の条件がExcelに並んでいるものを見せられて。その瞬間、「いねーよそんなやつ」と思いました。
でも、50個も条件を並べるくらいだから、真剣に作ったんだろうなとか、これで友情にヒビが入ったら嫌だなとか、考えてしまった。本当は良くないんですけれどね。
だから、「〇〇ちゃんみたいに年収もあって可愛いと、相手もひるんじゃって、出会いが減るよね」と言ってしまったことがあります。
それに、私たちは友達のことが好き。だからこそ、過大評価する面があります。
友達の深いところまで知ってるからこそ、
「この子は話すとこういう魅力があって」
「こういう家庭環境だったのに、とても頑張って今は1人で暮らせていて」とか、そういうのを全部考えてしまう。
なんなら、「変な男がよってくるなんてとんでもない」ぐらいの気持ちでいます。
けれど、婚活は第一印象で大半が決まる。素晴らしい性格の子でも「ダサい服を着てて、みずぼらしいな」と思われたら、それだけで終わっちゃうこともあります。
だから、女子会のフィードバックだけ聞いていると、友達の愛が深いがゆえにうまくいかないこともある。
川崎貴子(以下、川崎):女性の友情って、共感のコミュニケーションだからね。「わかるわかる!」という者同士で集う。
そこに辛辣なアドバイスは必要ないし、このタイミングで聞きたくもないわけですよ。「もっとあなたはこうしたら」という話ではないじゃない。
もちろん女子会を自分のストレス解消や、「また頑張ろう」と思える場所として活用するのはいいけれど、そのフィードバックをそのまま信じて、丸腰で婚活市場に出て行くのは危険ですよね。
女子会は自分たちの常識で凝り固まるリスクがある
トイ:婚活って「自己肯定感を高めるのは大事なのに、そのプロセスで女友達を活用していけない」という罠がある。普通は、傷ついたときって友達に慰めてほしい。そうやって自己肯定感を回復させることも多い。だから、つい友達に頼ってしまうんですよ。しかも、女友達からしても、婚活苦労話は良い酒のアテなわけです。だから、お互い依存しがちです。
川崎:女子会は同じカテゴリーの人と集まりますよね。同じ大学、同じ会社、同じ地域。会社が違っても生活やお金のレベルが同じくらいだと会いやすい。お店選びも、年収が違いすぎるとなかなか会わない。
トイ:だから、自分が「こんな男に会ったんだけどありえなくない? 常識はこっちだよね」と言うと、女子会では「確かに」「ありえない」となりますよね。ところが、こちらが第三者として聞いてみると、あなた方の方がずれているグループですよすね……? ということがあります。
川崎:大きな婚活の落とし穴ですね。「本当はこういう人と結婚したい」と思っていても「外銀や官僚じゃないと人間じゃない」みたいなグループに所属していたら、それが当たり前になってしまう。
別に自分は外銀の人と付き合いたいと思っていないのに、「友達に話題を出して認められる人がいい」という価値観になってしまって、本当に自分の好きな人を見つけられなくなる。
トイ:そうすると何が起きるか……。人は全部が欲しくなるんですよ。つまり、自分が文学系の塩顔青年が好き。で、周りは外銀や官僚が好き。そうなると、投資銀行で働いている、文学系の塩顔青年を探し出すんですよね。
川崎:難しいですね。
トイ:探せばいるけど、大学時代に虎視眈々と狙っていた女性に秒で刈り取られている。だから、当てはまるのは既婚者しかいないという話になってしまいます。
川崎:それで不倫沼というのも、ありがちですね。
自己肯定感に対する誤解をといて「ダメな自分も好き」になろう
トイ:婚活の罠に落ちてしまう原因として、第1回目の対談にもあった自己肯定感の話がありましたよね。そこで、自己肯定感の定義をしておきたいです。川崎さんがイメージされている「自己肯定感」はどのようなものですか。
川崎:自己肯定感はよく自信と間違えられます。自信とは、自分が何かをできるに違いないと、過去の経験からどんどん積み上がっていくものです。「過去にこれができたんだから、次もできるに違いない」というのが自信です。
自己肯定感は、「できてもできなくても私だ」と、自分自身を認めます。「ダメな私でもOKだし、ダメな私も愛されていい」と、まず自分が自分を肯定している状況です。
自己肯定感ががあると、何かあっても回復に繋がるんです。自己肯定感が高かろうと、怪我をすれば痛いし、失恋すれば傷つく。けど、回復が早い。
婚活では、男性が私のことを「好き」と言ってくれたときに、自己肯定感が低いと「私みたいな女を好きなんて変な人、この人趣味悪い」と感じがちです。
トイ:蛙化現象ですね。
川崎:そうです。自己肯定感が低いと「私のことが好きだなんて、この人ってきっと大した人じゃないんだろうな」と思う。自己肯定感が高いと、駄目な自分も愛しているので、「あなたなかなか見る目があるわね」「私に目をつけるなんてわかっているわね」と思うわけですよ。
自分に好意を示してくれた人に「いいね」と思える方がマッチングする確率は上がるに決まってるし、愛されて結婚できるし、その人を尊敬できる。
自己肯定感が低いせいで、自分のいいところを見つけてくれた人を嫌いになってしまうのは、もったいないこと。だから、自己肯定感を底上げをするべきだと思っていますね。
自己肯定感が高ければ、うつでも無職でも結婚できる
トイ:私が、生まれつき自己肯定感が低かったタイプで、いろいろトレーニングして上げた「後天的な自己肯定感」を作ったタイプです。特に、自己肯定感が高まったなと感じたのは、うつ病になって寝込んだときでした。
実は、ある時期にうつで約半年、寝たきりになったんです。お風呂も入れない、ご飯もまともに食べられない。あまりに動かないから、ベッドとの摩擦でできる傷まである。
そんなときも「全然動けないんですけどウケる!」「まあ元気になるまで寝るか~」と思っていた。うつなのに、自分が好きなんです。死にたくても、自分が好き。これが自己肯定感かと。
川崎:俯瞰する目を持っていたのかもしれませんね。
トイ:おっしゃる通りで、自己肯定感のベースに必要なのはメタ認知です。メタ認知とは、自分を神の視点で見ること。今こんなにダメだけど、でも人生の痛み一覧で言うと盲腸ぐらいかあ、みたいな視点をもつことです。
川崎:私も乳がんになったとき、「これで1冊本を書こう」とメタ的に思った。で、本当に書きましたね。手術の日程とかを決めなくてはいけないから、それどころではないんだけど、どこかで俯瞰して見ていた。その状況をちょっと楽しんでいるというか。物書きというのも一つあるかもしれない。
トイ:そうですね。メタ認知をしないと、文章を書いてもただのポエムになっちゃいますし。
婚活の自己肯定感を高める「コラム法」とは?
トイ:自己肯定感とかメタ認知とか、ややこしい話が増えたのですが……。メタ認知をはじめる、簡単な方法があります。それが、セルフモニタリングです。たとえば「10段階で自分のテンションを表現するなら、今はいくつ?」を毎日やること。
「今日は10段階で言うなら、いくつかな」に答え続けると、自分の体調・メンタルの10段階がわかるようになります毎日考えているだけで「今日は10段階のうち、2しかないわ。もう寝よう」みたいになってくる。
自分をモニタリングして認知の歪みを直す有名なメソッドに「7コラム法」があります。自分におきた出来事を7つのステップで振りかえるのですが、これが面倒で! 私は、全然続けられませんでした(笑)
なので、簡易版を紹介します。
- 今日あったことの中で、何があったかを書く
- どう感じたかを書く
- あえて「2で感じたこと」への反論を書く
これだけです。冒頭の「何があったか」は、事実しか書きません。たとえば今日、私が会社に出社した。そうしたら、お局が私の挨拶を無視した。これが事実です。「お局が怖かった、なんか不機嫌そうだった。私って、お局に嫌われてる気がする」には、主観が入っていますよね。だから冒頭には書きません。それは「どう感じたか」に書きます。
そして最後に「反論するならどんな風に見えるか」を書きます。
単に、挨拶が聞こえていなかったのでは?
お局は集中していたせいで、声が聞こえなかったのでは?
あの人、誰の挨拶にも返事してないんじゃないか?
みたいな反論ですね。これを続けてみましょう。
続けると、認知のバランスが取れていきます。こんな考えもあるかなあ、と。
そうすると「自分の考えはそもそも偏っているのかも」という認識が生まれる。
これがメタ認知の始まりかなと思っています。
日記に反論してポジティブな精神を作っていく
川崎:私も個人カウンセリングで、日記を書いてもらって添削しています。たとえば、
今日は部長に怒られながら、仕事をこなした。
結局できなかった。私はやっぱり仕事が遅い。
という一言を添削して、それをポジティブに言い換えます。
私だからここまでできた。
部長は何だか知らないけど、機嫌が悪かった。
なのに、私は通常の仕事ができた。えらかった。
こうして「私なんて」「どうせ」を全部、「私だからここまでできた」というふうにポジティブ転換します。
ポジティブに書く癖をつけると、自分のいいところを見つけやすくなります。
悪く書いても私に添削されてしまうので(笑)
自分のすごいところを見つけていく、自分の今日の素晴らしいところ・よくやったというところを見つけるようになる。これが、私の個人カウンセリングですね。
トイ:まさにメタ認知のトレーニングですね。